The Copyright Law Association of Japan 著作権法学会

著作権法学会 研究大会


2022年度(令和4年)研究大会のご案内


 陽春の候、会員各位におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。昨年は、コロナウィルスの感染拡大により、研究大会・総会をWebで開催せざるを得ませんでした。いまだに、コロナウィルスの収束はほど遠い状況にありますが、本年も、著作権法学会の研究大会・総会をZoomウェビナーで開催することとなりましたので、ご案内申し上げます。
〈研究大会・総会について〉
 欧米諸国の著作権法には、著作者や実演家が自己の著作物や実演の利用について瑕疵のない契約を締結した場合でも、収益に見合った相当・適正な報酬を保障する等の契約法(「著作権契約法」と呼ばれる)が広く見られます(例:ドイツ・ベストセラー条項、フランス・比例報酬原則、アメリカ・終了権制度)。そして、欧州デジタル単一市場指令(2019年)は、相当・比例報酬原則(18条)、透明性義務(19条)、著しく低い報酬の調整メカニズム(20条)、 ADR手続(21条)、取消・撤回権(22条)を定め、EU 域内において初めて著作権契約法のハーモナイゼーションが図られることになりました。
 日本においても、現行法制定時には一定の議論があったものの、最終的には、27 条・28条の権利譲渡に関する留保推定(61条2項)、出版権設定に関する規定(80条、81条、82条、83条、84条等)を除いて、契約法理として著作者・実演家を保護する規定はほとんど置かれていません。むしろ、映画の著作物に関して報酬請求権なしに著作権が著作者ではなく映画製作者に法定帰属する制度や(29条)、実演家の著作隣接権を制約するワンチャンス主義(91条2項、92条2項、92条の2第2項)などが定められており、著作者・実演家の保護ないし地位の在り方が問題になり得るところとなっています。  他方で、日本においては、競争法上の優越的地位の濫用あるいは下請法とこれに関するガイドライン等のソフトローによってこうした問題に対処する試みが見られます。ただ、その実効性については、検討の余地があるところであり、日本においても著作権法上の課題として著作権契約法を議論する意味はあるように思われます。
 そこで、本シンポジウムでは、著作権契約法に関する諸外国の立法例や諸動向を参照しつつ、日本における可能性について議論を試みることとしました。
 また、長谷川遼会員(立教大学)および比良友佳理会員(京都教育大学)の個別報告も予定しております。

著作権法学会 会長 野村豊弘


内 容


日 時: 2022年 5月 21日(土)10:00~17:00
場 所: オンライン(Zoom Webinar)※下記サイトにて要登録

10:00 開 会
10:00~11:00 [個別報告1]
 長谷川遼(立教大学准教授)「著作者人格権の保護法益について」
 (司会)田村善之(東京大学教授)
11:00~12:00 [個別報告2]
 比良友佳理(京都教育大学講師)「著作権と表現の自由――調整アプローチに関する国際比較と日本法への示唆――」
 (司会)今村哲也(明治大学教授)
12:00~13:00 <昼休み>
13:00~13:30 総会
13:30~17:00 [シンポジウム]著作権法における契約法
 司会:上野達弘(早稲田大学教授)
 上野達弘(早稲田大学教授)「企画趣旨&日本法」
 駒田泰土(上智大学教授)「独仏法・EU指令における公正報酬原則」
 安藤和宏(東洋大学教授)「米国における終了権制度」
 山城一真(早稲田大学教授)「著作権契約にみる『契約像』の問題」
 (討論)
17:00 閉 会

[参加費]会員無料

【登録】★下記サイトにて登録してください★
https://zoom.us/webinar/register/WN_KsY0Ee6_TRWZooYhFSka4g

〈非会員の方へ〉
非会員の方も、一般1000円(学生500円)で、ご参加いただけます。下記宛に参加費をお振り込みいただいた上で、ご登録下さい。

三菱UFJ銀行・目白支店・普通預金
口座番号:4596685
名義:著作権法学会 会長 野村豊弘



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